マスクと顎と表情筋と外国語
マスク生活が長引いています。「日本人は元々花粉症でマスクをしているから特に気にならない」と言う人もいますが、内心驚きます。本音の統計を取ったらどうなんでしょう。なかなか本音を言えない社会ですからね(笑)。コロナがやってきて、今まで以上に本音が言いにくくなりました。
Facebookで歯科医師の方が「マスクはいらない、顎関節症が増加している」ということを書いていました。鍼灸院に来る方でもマスク生活が始まってから顎の不具合、目の疲れ、こめかみの痛み、耳周りの不快感、頭痛などマスクが原因と思われる症状を訴える人が増加しました。マスクのせいと思っていないかもしれませんが、美容面ではほうれい線がひどい、老け顔になった、顔のたるみが。。。と言う人も多いです。
マスクをつけているだけで表情筋の運動量が半分から4分の1になるというニュースを見ましたが、実際にマスクをして仕事をしているときの不快感は甚大です。取った時の口の周りや顔のモッタリした感覚、これがもう2年以上も続いています。外国ではもうマスクなしが当たり前のところも多いのに日本はいつ取れるのでしょうか。フランス人の患者さん(鍼灸治療に来る)何人かに日本ではマスクをしなくていい日は来るのか?と聞かれました。日本人でさえ分かりません。
鍼灸師として働いていて、マスク以外にもコロナ禍で増えた訴えはありますが、マスクの不具合はダントツです。マスクを長時間つけていると…
- 呼吸が浅くなる→首肩こり、頭痛に繋がる
- 熱がこもる→呼吸が上手くできない、熱中症
- 表情筋を動かさない→首肩こり、疲労感、顔のたるみ、ほうれい線
- マスクの中の湿度が上がる→お肌に良いと思われがちですが、かえって乾燥します
- アゴ、顔の筋肉が固定される→普段よりも会話量が少なくなる→顎関節症
- 顔の筋肉が緊張→顔だけでなく体全体に影響が出る
上に書いた以外にもまだまだあります。鬱病も関係があるとマスコミで取り上げられていたと思います。
マスクをしていると表情筋が動かしにくいので、外国語圏の人達の方がマスク弊害は多いと思います。外国語の方は口、舌をよく使いますし、腹筋を使わないといけないようなこともあります。うちの鍼灸院にはフランス人の方が結構来院されますが、コロナ禍でも日本在住のフランス人がたくさん来ていました。みなさん律儀にマスクをしています。ただ、私の方がマスクのせいで不快感が増しました。フランス語を話す時は日本語以上に口を動かすからです。日本語を話すよりもマスクが口に付くのがストレスになりました。フランス語を話せるのは最高のリフレッシュですが、マスクをしていること自体が話しにくさに繋がります。
マスクを取れない職業なので、実は私自身が顎の具合がおかしくなりました。ところが最近また良くなったのです。なぜでしょう。そう、歌をよく歌うようになったからです。しかも英語の歌。口をよく動かします。歌を歌うだけで呼吸も使いますが、英語の歌の方が口をよく動かすので顎や顔の筋肉のリハビリになったようです。マスクの弊害で顎がおかしくなっているのだなと分かっていたのですが、最近の「歌活」のおかげで勝手に顎の状態がよくなってくれました。歌のおかげで良いことだらけです。
最近は顎関節治療でも顎の筋肉をガシガシ動かす治療にシフトしているそうですが、動かさなすぎの弊害は顎だけではありません。廃用症候群という言葉があります。過度に安静にしていたり、活動性が減ったことによって体に起こる様々な状態のことです。コロナになって、在宅ワークになり、マスクをつけて仕事をし、極端な言い方をすれば、みんな廃用性症候群的な症状になっています。
参考までに廃用症候群について 廃用症候群 | 健康長寿ネット
在宅勤務が続いていて出社が始まったという人は体力がなくなっているのを実感したと言いますし、いろんな方のお話を聞いていると、人間は動く動物なんだなと思います。動きすぎもダメですが、動かなすぎも全然ダメだなと皆さんを見て思います。