ミズオノオト - Cahier de Mizuho -

2002年に渡仏し7年後にフランスから日本へ逆留学。フランスに行かなければ鍼灸師にはならなかった日本人のブログ。

衛生面、陰毛の処理についてまで書かれているコーラン

と言う訳で(リンク先は前回のブログ)、フランス生活初期にはイスラム教の友達が多く、好奇心旺盛な私はイスラムに対して無知なので色々な質問をした。

 

純粋な疑問は「コーランって何が書いてあるの?」という事だった。

 

友人達によると、生活していく上での基盤が書かれているそうだ。

聞いてみると、盗みをしてはいけない、などの基本的な倫理も書かれている。

偶像崇拝もダメだから、本当は写真を飾ったりするのも良くない。でも「パキスタン人は写真が好きだからね」と笑ってバシャバシャ撮っていた。

 

コーランの中には良い行いをする為にしてはいけない事、するべき事が書いてある。そして、当時私が聞いた時にそんな事まで書いてあるのか…と、驚くべき事も書かれている。

 

それが分かったのはある出来事がきっかけだった。

 

トゥールToursからモンペリエMontpellierに移り、最初だけホームステイで、その後にステュディオを借りた。ホームステイをしていた時、一週間ぐらいモロッコ人の女性が私の隣の部屋にいた。トイレ、浴室は彼女と共同。ある時、トイレに明らかに陰毛と分かる毛がごそっと落ちていた。(普通の感覚ならちゃんと掃除すると思うけど、そこは突っ込まない。)それも一本とか数本とかじゃなく明らかに切ったか剃ったかの量。

 

ギョッとすると同時に、不思議だったのでイスラム教徒の友人に聞いてみた。

 

私「モロッコ人の女の子が、切った形跡の陰毛をトイレに残してた。。。」

友人(平然と)「ああ、剃ってたんでしょ。陰毛は剃るようにコーランの中に書いてあるから」

私「え??」「じゃあ常に毛は剃るの?」

友人「脱毛クリームを使う人もいるけど。毛があったら衛生的じゃないからね。」

私「ああ、そう…。」

 

これは女性だけではなく男性も同じです。

ちょっとびっくりしたけど、そんな事まで書いてあるコーランって「生活規範の教え」みたいで、なんだか微笑ましいと思った。イスラム教では菌が蔓延しないように、常に清潔にしておくことが義務付けられているということです。結構有名なエピソードなのでご存知の方も多いでしょう。眉をひそめながらもしっかりと答えてくれたイスラムの友人に感謝します。

 

因みにヨーロッパでは下の毛は処理するのが普通です。大学院に行ってからも、フランス人女子が「今日はサロンで毛の処理の日なんだ〜♪」と嬉しそうに話していました。

よくフランス人は脇の毛を剃らないという都市伝説がありますが、あれは違います。その逆で、彼女達はかなりまめにケアをしている人の方が多いと思う。

 

日本に帰ってきて温泉や銭湯に行くと、伸び放題の方が多いので、私は物凄い違和感を感じてしまいます。ちゃんと切るなりなんなりすれば良いのにと思ってしまう。慣れというものは恐ろしい(笑)。

 

同じく衛生面で、彼らは大便でも水で清めるのが普通。大学寮でトイレに行きたい時にトイレが共同の場合、ティッシュではなく、ペットボトルに水を入れて渡されます。彼らにとっては子供の頃から水で清めているので、ティッシュでお尻を拭くのは痛くてたまらないらしい。

 

そこで、彼らが大絶賛していたのが日本のウォシュレット。

今はウォシュレットは世界でも有名になっていますが、私がフランスにいた頃はまだ今ほど出回っていなかったので、日本のウォシュレットを知り「非常に衛生的だ!」と大感激していました。

 

イスラム教徒は排泄時に水で清める。手で触れずにそれを可能にしてくれる日本の利器は彼らの心に響いたようです。

 

イスラム教徒の友人宅に行くと、大抵は小綺麗にしていますし、そういえば、ラマダン明けなんかは水でマンションの廊下まで清めている人がいました。

コーランの中に衛生面についての記述があるからなんですね。 

 

☆参考までに「イスラームの説く、衛生管理における五つの方法」というページがあったので、リンクしておきます。

 

 

今回も東京国立博物館の「アラビアの道−サウジアラビアの至宝」で撮った写真を一枚。

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神殿などで神に香を捧げる為に用いた奉献台・前4世紀頃(右)と香炉・前3〜後3世紀頃(左)。手前に置いてあるのは乳香と没薬です。サウジアラビアでは今でも乳香を焚いて空間を清めるそうです。

(キング・サウード大学博物館 King Saud University 所蔵)