ミズオノオト - Cahier de Mizuho -

2002年に渡仏し7年後にフランスから日本へ逆留学。フランスに行かなければ鍼灸師にはならなかった日本人のブログ。

サントリーホール Suntory Hall

サントリーホールでは視覚は要らない。目をつぶって耳だけで聴く方が、音のパワーというか気を感じる。

 

幸せや快感を感じることは色々とあるけど、私にとって音楽は大きな精神的喜びを与えてくれるものの一つである事は間違いない。家族全員が音楽好きで音楽は皆が好きなのだとずっと思っていたら、大学で音楽は聴かないと言った友人がいて、とても驚いたことがある。

 

ここ最近は音楽で涙がでる。それも、サントリーホールで聴くと落涙する。

今日のコンサートも泣くようなプログラムではないはずなのに、自然と涙が出ていた(笑)。

 

指揮:サカリ・オラモ
ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン交響曲第5番 「運命」
マーラー交響曲第1番 「巨人」

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「運命」で泣く日が来るとは(笑)。こういう系は昔の私なら聴いて興奮はしていたかもしれないけど、泣いてはいなかったと思う。演奏自体も素晴らしいんだけど、サントリーホールはその演奏をさらに昇華させている。勿論、演奏も素晴らしいし、私の感覚自体が昔と違ってきたのかもしれない。マーラーの巨人の構成もドラマチック。

 

良いステレオで聴いた方が音楽を楽しめると言っていた人がいたけど、サントリーホールで聴く音の感動を覚えてしまうと、生で聴く音は素晴らしいと思う。今はそう感じるけど、私も感覚も歳を取ると変わっていくのかもしれないから、今感じているこの感覚を書いておく。「音が降ってくる」と言うけど、まさにそれ。サントリーホールの音のあまりの美しさに胸が一杯になって幸せを感じる。圧倒的に美しい。

 

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大学を卒業して初めて就職したのがサントリーホールの近くだった。まだフランスに行く前のこと。

仕事の関係の方で、私をN響定期コンサートに連れていってくれる人がいた。

何度連れていってくれたか分からないぐらいで、その方のお陰で私はサントリーホールに行くという事に慣れた。

 

その方はサントリーホールN響定期だけに留まらず、フランスに留学に行く前にも壮行会をしてくれたし、一時帰国でも食事に連れていってくれたり、随分と可愛がって頂いた。サントリーホールに行く度にその方への感謝と懐かしい気持ちが湧き上がる。

 

今年一月に亡くなったKさん、大学を出たばかりの生意気な小娘のことを随分と可愛がってくださいました。Kさんの独特の雰囲気が大好きで今でも思い出します。ワインとは言わず「ブドウ酒」と言うKさん、ズバリと的を射た話し方。感謝の気持ちで一杯です。あの世でもお元気で。

 

サントリーホールに通うのもKさんがいたからこそ。