ミズオノオト - Cahier de Mizuho -

2002年に渡仏し7年後にフランスから日本へ逆留学。フランスに行かなければ鍼灸師にはならなかった日本人のブログ。

イスラムと食べ物の話 Repas pour les musulmans

リヨンLyonにGuillotière(敢えてカタカナで書くとギヨチエール)という場所がある。

何も知らずに行くと怖い場所だと思うかもしれない。トラムを降りた瞬間から明らかに空気が違う。

 

ケバブ屋さんや、ハラールHalalの肉が買えるお店が並んでいて、アジア食品店も沢山ある。日本食材もここで買える。イスラム以外にもインド料理、ベトナム料理、韓国料理、日本料理などアジアンレストランなどもあるのでリヨンの多国籍区域と言ったところか。でも、リヨン郊外に行くともっともっとその色が濃い所がある。リヨン市内での多国籍地区はギヨチエール近辺からサックスガンベッタに行けば間違いない。あまり中に入ったことはないが、インドのサリーみたいな服やベリーダンスの衣装がウインドーに飾ってあるお店もある。

 

たまに、ごそっとイスラム教徒(?)が集団でたむろしている時間帯があったりする。お祈りの時間帯だったのかな?

 

リヨンに来たばかりの頃にパキスタン人の友人がハラルの肉を買いに行くと言うのでギヨチエールに一緒に行った。その時はあのオリジナリティ溢れる雰囲気に驚いたが、住んでいるうちに慣れてしまった。イスラム教徒が怖い人たちではないと分かってしまったので、沢山の人がたむろしている中を平気で一人で歩いていて、待ち合わせしてた友人に驚かれたことがある。でも、はっきり言って、フランス人の悪ガキにひったくりに合う方がよっぽど危ない。

 

ただし、ギヨチエールの辺りは人が多いし、気をつけて歩くに越したことはない。

 

パキスタンでは生きてる鳥を買ってきて、それを家で絞めて血抜き処理して料理すると友人が言っていた。当時は驚いたが、「かえって生命のありがたさが分かる」と涼しい顔で言う。確かにそうかもしれない。

ハラールの肉は一気に頸動脈を切って血を抜いてしまうのだそうだ。だから、肉も新鮮で美味しいのだと言っていた。実を言うと私もハラルの肉は美味しいなと思ったので、イスラム教徒ではないけど、一人でもハラル屋さんに買いに行ったりした。

 

ギヨチエールの多国籍の雰囲気が楽しいからというのもあった。

ハラルの肉屋さんとはいえ「肉屋さん」なんだから。ハラルの肉屋さんで牛肉をミンチにしてもらって、それでハンバーグを作って喜んでいた。ミンチにしてもらったばかりの肉で作るハンバーグは美味しい。

そうそう、フランスは肉屋さんに行く習慣が日本よりもあると思う。イスラム教徒であれば、スーパーよりも街の肉屋さんに行く事の方が多いのは確実だ。

 

そういえば、ハラルで思い出したことがある。

2016年11月5~6日、つくばで世界鍼灸学会連合会学術大会があった。

International Conference of World Federation of Acupuncture-Moxibustion Societies Tokyo/Tsukuba 2016

WFASウファスである。

↓写真は当時のWFASホームページをスクリーンショットしていたもの。ホームページは既に消されている。

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初日に大ホールで一人で聞いていた。すると、隣に外国人の女性が座り、なんだかそわそわしてキョロキョロ見回している。どうしたのかと思って、(私は英語よりもフランス語の方が良いので)「あなたフランス語話しますか」(そう聞く私も私だが(笑))と聞くと、なんと!「話します」(笑)。アルジェリアから参加の女性の医師でハラールのお弁当はあるのか知りたいと言うことだった。

「中国で学会が開催された時はハラルフードが用意されてたけど、ここではありますか?」と聞かれた。私は学会事務局ではないので、「分からないけど、ないかもしれない、聞いてきましょうか?」と言うと、「もう講演が始まるから大丈夫。我慢できるわ。ありがとう。」

 

日本にもイスラム教徒の人は増えてきたし、2020の東京オリンピックでは色んな人達がやってくる。イスラム教徒用の食事を出すお店も増えるんだろうなと思う。

 

今は健康上の理由や、アレルギーでこれはダメというのを良く聞くようになった。イスラム教徒のハラルフードぐらい大した問題ではないかもしれない。

 

 

イスラム教ではラマダンをするので、フランスにいた時はラジオを聞いていると「今日からラマダンです」と言うし、ラマダンの期間はケバブ屋さんともガランとしている。

 

フランスの大学で働いていた時、同僚でイスラム教徒女性がいた。彼女はとっても優しく、感じのいい人で仕事でもいつもニコニコ。私にとってはオアシス的存在だった。

 

彼女がラマダン明けにいつもアラブの甘ーいお菓子を職場に持ってきてくれていた。

アラブのお菓子というのは下の写真のような感じのものです。ガトー・アラブGâteaux arabes。蜂蜜がたっぷりしみ込んでいたり、中にナッツやアーモンドの生地が入っていて、非常に、無茶苦茶に甘いです!(笑)。でもたまに食べたくなる。ナッツたっぷりのものが多いですが、左の月の形のお菓子はCornes de gazellesと言って、ムスリムではない人達にも人気。これは甘すぎないし、私も好きです。確か、同僚か誰かが家で作って職場に持ってきていた。

 

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画像はモンペリエのアラブ菓子やさんの写真を拝借しました。

 

ガトー・アラブ、食べたいな〜。多分、日本でもアラビアンレストランとかで出してるんだと思う。

 

ブログ書いてると、忘れかけていたことを思い出させてくれて脳にいいですね(笑)。