ミズオノオト - Cahier de Mizuho -

2002年に渡仏し7年後にフランスから日本へ逆留学。フランスに行かなければ鍼灸師にはならなかった日本人のブログ。

アラビア語熱は続くか否か

先日、東京国立博物館で行われた『アラビアの道 サウジアラビア王国の至宝 Roads of Arabia Arcaelogical Treasures of Saudi Arabia』の内覧会へ行って以来、アラビア語を学習したい熱に火がついている。

 

元々フランスにいた時にアラビア語を聞く機会は頻繁にあったが、独特の喉を使う音が難しそうで「アラビア語なんて人生で勉強しようとすることはないだろう」と当事の私は思っていた。右から左に書くアラビア文字よりも、あの「音」の方に遥か彼方の世界を感じていた。

 

ところが、『アラビアの道』で出会ったサウジアラビア人(なのだろうか?)の方が説明してくれて「アラビア語のアルファベットは28文字。(私が発声不可能だと思った)喉を使う発音も三種類しかない。」そして、私がフランス語を話すことを伝えると、「何らかの言語を修得した人は次の言語の修得も早い。それに、フランス語を知っているなら喉を使う音も割と簡単に出せる筈だ。」とのたまう。そして喉を使う音三種類もその場で出して見せてくれた。そう、その「喉使い」!

 

フランスにいた頃に中国語も非常に難しく感じていた。フランス語以上に音の種類が多く、四声もあるとお手上げだ。鍼灸の学校の古典研究会でほんの少し触る程度に中国語をやり(本当に触った程度で勉強したとは言えない)、卒業後も針灸の古典だけ読みたいという友人と数ヶ月だけ中国語の授業を受けたこともあった。が、まるで物にならない。地理的に中国語教室が遠くなったこと等の理由もあって、中国語からは遠ざかっていた。

 

ところが、連続して北京での鍼灸研修へ行く機会があり、生の中国人と話す機会がここ数年で増えた。おまけに、友人の奥さんが中国人で彼女とも頻繁に会うようになる。中国語は発音が難しいと敬遠していたが、どういう風の吹きまわしか、親しげな中国の友人達が増えて、「中国語を話せるようになりたい」と私の心が欲しているのが分かった。

 

というわけで、ある大学の公開講座の夜クラスで去年の4月から中国語講座を受講。結果は「意外とイケるかも」である。フランスにいた頃は中国語は発音が難しすぎると思っていたのが、舌の位置や口の開閉で音自体はちゃんと出すことができる(当たり前だが)。そして、口の訓練をすればするほど難無く音を出すことができる。あとはどれだけ訓練するか。

 

フランス語の音を作り出す訓練過程と同じ。日本語にない母音や子音を大人の日本人が耳で聞いただけでそのまま作り出すのは不可能。鏡を持って口の開口度、舌の位置を確認しながら行う発音特訓をフランスに行く前に受けた。発音だけでなく動詞活用や文法も徹底的に仕込まれる。ある筋では有名なあの講座である。あの時の音を作り出す過程、訓練があったからこそ、私はフランスへ行ってもコミュニケーションにあまり苦労しないで済んだのだと思う。もちろん、それだけではダメなのだが、耳で聞いただけではその音をどうやって作り出すかは分からない。あの時のあのスパルタ講座はかけがえのない体験だったと思う。

 

その講座のことを思い出し、フランス語にも中国語の音と似た音が存在するのもあって、中国語の発音は思っていた程「不可能ではない」と最近は思う。ただし、四声は慣れないとまだまだ難しい。でも、慣れてくると中国語の発声は非常に楽しい物である。口を大きく開けないと出ない音が多いので、自然と歌を歌っているのと同じように深く呼吸をするようになる。こもっている気を開放しているようなイメージで、練習する声も大きくなる。実際、中国語の予習・復習をすると気分が良くなる。

 

中国語の副産物として、音の数が多く、口の形にも注意しているのでフランス語の発音まで昔よりもはっきりしたという嬉しいおまけがついた。日本語ばかりずっと話していると、口はあまり大きく開ける必要がないが、中国語はそうもいかない。こうやって発声していると、国によって異なる国民性は言語の性格に寄るところが大きいだろうと思う。

 

というわけで、中国語に味を占めた私は、アラブ語も不可能ではないのかもしれない、と『アラビアの道』に行って思った。しかも、できないと思っていたものができるようになる時の喜びは自分にとっての大きな自信になる。

ただし、ネックは、まだ中国語も勉強している最中なので、今アラビア語を始めると、中国語、アラビア語とダブルになる。そして、フランス語も忘れるわけには行かないので、トリプルとなり、英語も最近は使う機会があるので外国語四十奏のクアドラプル(quadruple )となる。

 

特に最近はフランス語の医学単語を勉強する必要性を切に感じていた所だったので、ここにきてアラビア語に参入されると時間的になかなかキツいスケジュールとなりそうだ。

 

でも、外国語を学ぶことで得られる豊かさ、広がる世界は本当に素晴らしい。フランス語とも中国語とも違うアラビア語を学ぶことで得られる新しい要素が人生に与えてくれるものは大きいに違いないと思う。

 

本当はダンスも始めたいけど、流石にそうとなると究極の選択をする必要がある(笑)。さて、アラビア語を始めたものかどうか。。。思ったが吉日というし、こういう文章を書いている時点で既にアラビア語への道はスタートしているのかもしれない?!?

 

 

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Cérémonie d'ouverture de l'exposition "Roads of Arabia" Archeologial Treasures of Saudi Arabia「アラビアの道 サウジアラビア王国の至宝」内覧会に行ってきました。Instagram